お盆は仏教の行事だと思われていますが、実は元々は仏教の行事ではありませんでした。
日本では古来より亡くなった人の魂はやがて先祖という神となり、夏や冬になると子孫の祭りを享けるために家に帰って来るんだと信じられてきました。
この夏と冬の祭りがやがてお盆になり正月になりました。
一見、正月とお盆は無関係だと思われていますが、実はどちらもご先祖様が関係している行事なのです。
正月では、お正月様や歳神様という神様が家にやって来て、家の者に長寿や福徳などの恵みを齎すのだといわれております。
このお正月様や歳神様という神様が実はご先祖様でもあるのです。
簡単にいいますと、亡くなった人の魂が33年を過ぎ仏(ほとけ)と成り、そしてご先祖様という神(かみ)に成る。その神となったご先祖様の神様レベルが上がると祖霊(それい)になる。祖霊となられたご先祖様がお正月様や歳神様というわけです。
葬儀の時、亡くなった人の位牌には享年(きょうねん)と記します。これは、神様から頂いた年(命)の数はいくつという意味です。この神様も実は祖霊となられたご先祖様だというわけです。
日本の古来からの伝統では、私たちは死ぬと先祖という子孫に恵みを齎す神に成ると信じられて来ました。
そして、子孫に恵みを齎す神と成るためには先ず仏に成る必要がありました。
ですから、私たちは仏教の儀礼や儀式を行うことにより、仏の力(法要)によって成仏に導いてもらわなければなりません。
やがて、三十三回忌を終えると先祖という神と成り、子孫に恵みを齎す存在となるのです。
現代では、このような日本の伝統と文化が忘れられてきています。
最近では、宗教が違うからお盆は関係ないという方も増えてきたようです。
ですが、先にも述べたように、このお盆という行事は神社では御霊祭り(みたままつり)ともいうように、元々は仏教の行事ではなく、古来より続いている日本の伝統であり文化です。
8月は盆月(ぼんづき)ともいいます。
ぜひこの夏はご先祖様に手を合わせながら、あなたのルーツに想いを寄せてみてはいかがでしょうか。